前回は「そもそも認知の歪みとは?」に触れたが、さっそく認知行動療法学者である著者がまとめた認知の歪みについて、箇条書きで記しておきたい。
①全か無か思考
ものごとを白か黒のどちらかで考える思考法。少しでもミスがあれば、完全な失敗と考えてしまう。
→100点でなければ、85点でも意味はない。
②一般化のしすぎ
たったひとつの良くない出来事があると、世の中すべてこれだ、と考える。
→このテストで85点ならば、今後もずっと100点はとれないだろう。
③心のフィルター
たったひとつの良くないことにこだわって、そればかりくよくよ考え、現実を見る目が暗くなってしまう。ちょうどたった一滴のインクがコップ全体の水を黒くしてしまうように。
→15点もミスがあるなんて人間として欠陥があるに違いない。(実際に85点という平均よりも高い得点という事実を差し置いて、そのことばかり考えてしまう)
④マイナス化思考
なぜか良い出来事を無視してしまうので、日々の生活がすべてマイナスのものになってしまう。
→85点を褒めた両親も、それは本来の気持ちではない。僕は劣っている。
⑤結論の飛躍
A:心の読みすぎ
ある人があなたに悪く反応したと早合点してしまう。
→テストの点数を報告した友人の反応はとても良くないものだった。嫌味に聞こえたのだ、関係も破綻してしまうだろう。
B:先読みの誤り
事態は確実に悪くなる、と決めつける。
→こんなテストの結果では、必ず両親に叱られてしまうだろう。
⑥拡大解釈(破滅化)と過小評価
自分の失敗を過大に考え、長所を過小評価する。逆に他人の成功を過大に評価し、他人の欠点を見逃す。双眼鏡のトリックともいう。
→85点の結果だなんて、これで自分の評価はガタ落ちだ!
⑦感情的決めつけ
自分の憂鬱な感情は現実をリアルに反応している、と考える。「こう感じるんだから、それは本当のことだ」
→85点はダメ人間に思うし、自分がこう思うのだからダメ人間であることは間違っていない。(本当にそうだろうか? どういう理由と根拠をもって、あなたは世間から認められるダメ人間なのだろうか?)
⑧すべき思考
何かやろうとする時に「~すべき」「~すべきではない」と考える。あたかもそうしないと罰でも受けるのかのように感じ、罪の意識をもちやすい。他人にこれを向けると、怒りや葛藤を感じる。
→僕は100点をとらなくてはいけない。可能であれば90点以下をとってはならない。
⑨レッテル貼り
極端な形の「一般化のしすぎ」である。ミスを犯した時に、どういうミスを犯したかを考える代わりに自分にレッテルを貼ってしまう。「自分は落伍者だ」他人が自分の神経を逆なでした時には「あのろくでなし!」というふうに相手にレッテルを貼ってしまう。そのレッテルは感情的で偏見に満ちている。
→85点は人生の脱落者だ。自分だけでない、他人も同様である。
⑩個人化
何か良くないことがこった時、自分に責任がないような場合にも自分のせいにしてしまう。
→僕のテストの点数は85点だった。しかも弟は80点だった。これは絶対に兄として僕のせいだ!
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