理をもって推しはかれば夜もまた明ける④ 『しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術』


あなたはこの本を手に取った瞬間から、既に得体の知れないトリックにはまっている。





文庫 裏表紙あらすじ。

二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な宗教団体“惟霊講会”。超能力を見込まれて信者の失踪を追うヨギガンジーは、布教のための小冊子「しあわせの書」に出会った。


 はっきり言おう。もうこのミステリについて語ることは出来ない。何を記載してもネタバレになるかもしれないし、読後の「え、なにこれ?」から「は、もしかして……」の「ぎゃああああああああああああああ」を味わうには、一切この本のことを調べずに、Amazonのレビューを絶対に見ないで、お届けしてもらう他ない。


 ただ、そんなことを言っていても本書の魅力を伝えたことにはならいので、やはり外観だけは伝えておこう。

 著者は泡坂妻夫といい、以前『湖底の祭り』を紹介したがそれと同じ作者である。『しあわせの書(略)』で分かったが、著者はマジシャンでもあると言う。なるほど! だからこんな奇想が浮かぶのか――と、それで合点がいくのだからこのミステリは面白い。

 自分的には前回『湖底の祭り』を読んでいたから、この『しあわせの書(略)』を手に取ったときの不可解さは、筆舌に尽くしがたい。しかしそのときの予想は大いに裏切られるわけで、やはり著者の精緻な文章力は感嘆に値する。

 迷探偵ガンジー他、それは愉快な仲間たちが繰り広げる生き残りをかけた珍道中を、あなたは「しあわせの書」から読み解けるだろうか?

1コメント

  • 1000 / 1000

  • まるzombie

    2019.10.24 13:51

    流石言葉の選び方が上手い!そしてのの著書も是非読んでみたいものです。