秋雨とピクルス

 東京は突然真冬並みの冷気が街を覆っていて、細く冷たい雨が降り続いている。すでに電気ストーブには出動命令をくだした。
 今日みたいな日は部屋にいて、ぐだぐだするのが常なのだけれど、なぜかここ数日間ピクルスが無性に食べたいのである。(本当は生姜の酢漬けを作りたかったが、どうやら新生姜という季節性の材料を必要として、泣く泣く諦めた)
 おれは珍しく、セーターを着こんで近所のスーパーに食材を調達しに向かった。

 きゅうり、だいこん、にんじん、ミニトマト……
 インターネットに載せられているレシピをうろ覚え、滅多に買わない野菜連中をかごに放り込む。
 ええとそれから“鷹の爪”……鷹の爪?!(いまいちおれは鷹の爪が何なのか分かっていない。唐辛子なら唐辛子と書いて欲しい。鷹の爪とはいったいなんですか誰か教えて)
 しまった! とおれはやにわに思う。この前友人とこのスーパーで買い物をした際、この珍妙な食材がなくて困らせたことがあったのだ! くぅ~、ピクルスのあのアクセントが無くなるのは非常に避けたいし、なんとかならんかと練り歩くとそこには。

房は草。

 なんか唐辛子はあったのだけれど、こういう風にして売られるのが普通なのかしら……おれ二、三個でいいんだけど……と、一房一房がチリペッパー感をこれでもかと主張しているのに躊躇いつつも、これを最後に家路についた。

切るっ!

切ったっ!

できたっ!

 自炊なんてほとんどしないもんだから、自宅にある食材や調味料を把握してなくて、酢がぜんぜん足りないという事故が起きて、だいこんを一皿余らせた。でもとりあえず三日分くらいの量は漬けられたから良しとしよう。
 今のところいちばん怖いのが、肝心のピクルス液を目分量よろしくで作って、例の唐辛子もどう処理していいのか分からなかったから、ちぎってポイした。
 今日の夜頃にハートランドのあてにするので、味のレビューはまたその時に。
 みんなも野菜を食うんだぜ。もりもりな。

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