　二月はなんと記事を三本しかあげられていなくて驚いたのですが、思い返せばこれまでもそれくらいだったと反省した筆者です。

　日本列島暖かくなりました、三月ですね。沖縄県はもっぱらＴシャツで過ごす日々がもう続いていると聞きますが、平成最後（普段なら根拠薄弱な反逆児風情を演じるためメディアの流行には断じて乗るものかと息巻いていますが、平成生まれの筆者、平成チルドレンの筆者はいよいよ残り二か月の平成を惜しむためにも、なんでもかんでもに「平成最後」を付けていきますよ、嗚呼悪しからず）になってしまった自分の大好きな冬も終わってしまいました。冬が大好きです。

　終わってみて、より大好きに気づきました。

　玄関を抜けると朝もやが凛とした空気に輝いています、鼻いっぱいに新鮮な空気を吸い込んで肺を冷たい冷たい空気で満たします、吐いた息はダイヤモンドが砕けたように散り散りになって、それを飽きるまで繰り返します。背中を押すように北風が吹いていて、ホームに佇む女子高生の白足は冬空のように透き通っています、前を歩く小学生は頬をりんごに染めていて、とても寒いからあなたの手がより温かく感じます。葉をすべて落とした街路樹から差し込む一日の終わりの色は、寂しいけれど美しくて、初恋の人をいつも思い浮かべます。もうこの景色に会えないことをあなたに重ねます。いつの間にか街灯が灯っています、灰色の街もこの季節なら少し綺麗に見えます、晴れた夜には星も僅かに見えています。ほくそえむ月より、堂々と口を開けている満月が好きです。冷たいものも美味しく、温かいものはもっと美味しい季節でした。立ち上る燗の湯気を吸い込むと、泡沫の思い出が唐突に思い出されて、僕を思ってくれた友人の幸せを祈ります。ベランダに出ると、明日には冬が終わることを感じます。また来年、僕のこの感情が沸き起こってくれますよう、尊いことを尊いと思える自分が蘇りますように、最後の冷たい空気を吸い込みました。

2019.03